之を求めて得ざれば寤寐にも思い服う、悠なるかな悠なるかな輾轉し反側す。
これをもとめてえざればごびにもおもいおもう、ゆうなるかなゆうなるかなてんてんしはんそくす。
道を求めて得られず寝ても覚めても思い続け、憂え憂え寝ても身悶え寝返りして悩む。
漁は烟浦に歌って咸な富貴と稱し、樵は雲樹に唱えて共に昇平を樂む。
ぎょはえんほにうたってみなふうきとしょうし、しょうはうんじゅにとなえてともにしょうへいをたのしむ。
山村も海辺も萬民和樂天下泰平の様子。何処か光明ならざる。
之を仰げば彌高く之を鑚れば彌堅し、之を瞻て前に在るかとすれば忽焉として後に在り。
これをあおげばいよいよたかくこれをきればいよいよかたし、これをみてまえにあるかとすればこつえんとしてしりえにあり。
大道はかくの如くにして端倪すべからざる至大至尊のものと云うべし。
堯風蕩々として野老謳歌し、舜日煕々として漁人棹を皷す。
ぎょうふうとうとうとしてやろうおうかし、しゅんじつききとしてぎょじんさおをこす。
天下泰平、万民和樂の様子。
玉人寶を獻じて楚王これを誅し、李斯忠を竭して胡亥刑を極む。
ぎょくじんたからをけんじてそおうこれをちゅうし、りしちゅうをつくしてこゐけいをきわむ。
和氏は楚の厲王に玉を獻じて罪に遇ひ、秦の李斯は忠臣であったが、王の胡亥に極刑に処される。 善い事をして罪になる例。
金は火を以て試み、玉は石を以て試み、水は杖を以て試み、人は言を以て試む。
きんはひをもってこころみ、たまはいしをもってこころみ、みずはつえをもってこころみ、ひとはげんをもってこころむ。
物それぞれに試すものがある。一言云わせてみれば人の価値はすぐ分る。
劒輪飛ぶ處日月輝を沈め、寶杖敵する時乾坤色を失す。
けんりんとぶところじつげつひかりをしずめ、ほうじょうてきするときけんこんいろをしっす。
劒輪、寶杖は本分を指す。悟りの本心が現るると、日月も天地も影を収めて了う。
姑蘇台畔春秋を語らず、納僧面前豈に玄妙を論ぜんや。
こそたいはんしゅんじゅうをかたらず、のうそうめんぜんあにげんみょうをろんぜんや。
事の餘りに明白なるは云うに及ばずの意。
姑蘇台は呉王夫差が越に勝ち、西施を得て之を寵し爲めに築きたるものにして、後にまた越に亡ぼされた。
春秋を語らずは盛衰を語らずの意である。 納僧の分上には玄妙の一事は明白茶飯の事にて論議するのは無用だ。
狐峰頂上月に嘯き雲に眠る、大洋海中波を翻し浪に走る。
こほうちょうじょうつきにうそぶきくもにねむる、たいようかいちゅうなみをひるがえしなみにはしる。
上句は眞人の心中の境地、下句は世上に下って化度三昧の相。
狐峰頂上目に雲霄を視、古渡頭邊和泥合水す。
こほうちょうじょうまなこにうんしょうをみ、こととうへんわでいがっすいす。
上句は本分の上に屹立の所、下句は俗世間に入って和光同塵する様子。